DATE : 2008/01/08 (Tue)
私の馬鹿な指とページの使いにくさのせいでこの記事を書くのは3回目なのでもう嫌です
ちょっぴり泣きはいってます
・アッシュのヴァンに対する感情(愛?憎?)
・アッシュのレプリカルークに対する感情(愛憎?投影?同一視?)
・アッシュの性格の捻くれ歪み度合(ツンデレ?デレツン?)
・アッシュはルークを憎んでいたのにどうして例のグランコクマでの遭遇で一瞬たりともレプリカに気を許しても良いかなんて思ってしまったのか。私の中のアッシュは自身の存在を喰った上にこれから命までも喰らおうという憎しみの対象以外の何物でもないレプリカと馴れ合うなんて出来ないはずなんですがねえ。一体どういう風の吹き回し?
簡単に言うと以上のことがわからないよねって言う話
つまりアッシュがすきすぎてもんもん妄想してしまうから発散しようってことです
つまり若気の至りってやつです
そんな時期がかつて私にもありました
今はそんなことはありませんという話です
ちゃんとそるろんだってやっていますよあはははは
続きはアッシュの妄想ばなし
あまりに理解不能でもんもんするので自分で勝手に解釈しました
エンディングといい、アビス(アッシュ)にはほんともんもんさせられる
差し伸べられた手を拒んだのは、その手が嫌だったからじゃない。
その手に拒まれるのが、怖かったからだ。
拒まれるのが嫌ならば、何も望まなければいい。
全て拒んでしまえばいい。
いつの頃からか、そう思うようになっていた。
いつの頃からそう思うようになったのかは、覚えていない。
生まれたときから物心ついてしばらくの間は、食うものに困らない裕福な家、気高くひたむきな幼馴染、と必要以上に恵まれた環境に居た自覚がある。
将来国を背負う為だという理由で高度な学問を強制されたり、国の利益に繋がるのだからと過酷な実験を課されたりもしたが、それも当然のことと納得していたはずだった。国に生かされている俺が、国の為に働くのは当たり前なのだから。
なら、ダアトに居を移した後はどうだろうか。実際は居を移す、なんて穏やかなものじゃなかったが、ダアトに暮らすようになったという意味なら同じ事だ。当時のことを思い出そうとすると、ズキリと頭の芯に痺れが走った。
そう、その頃はレプリカ情報を抜いた後遺症だとか、色々なことが一気に起きて環境の変化に精神がついていかなかったのだろう。酷く記憶が曖昧だ。
ただ、ぼんやりする視界と思考と断続的に訪れる吐気。それが、今の自身と重なる。
否、ここは研究者の声が響いて煩いベルケンドでも、石の壁に囲われたダアトでもない。鼓膜を震わせるのは水の波濤で、空は広く澄んだ蒼で、俺の行くてを阻むものは何もない。
ただ、ひどい吐気だけが
「アッシュー、アッシュだろ」
その原因はコイツで
俺と同じ声帯から俺が絶対出さないような間延びした声を出す俺と同じ姿かたちをしたコイツが原因で
「こんな目立つ赤い髪、アッシュ以外にいるわけねぇんだから、無視すんなって。話が――」
しかし、ソレにこだわるのもそろそろ潮時かもしれない。
俺にこうも気安く話しかけてくるのはもうコイツとナタリア、そしてあの人ぐらいしか居ない。
ずっと俺を生かし続けてきた焔が、憎しみの火が、だいぶ小さくなってきていることには気付いていた。
背後に迫った気配が俺の肩に触れる前に、俺は振り返った。コイツの前で無様な姿はさらせねえ。俺に残された数少ないなけなしの意地だったが、それでも吐気を抑える役にはたった。
実力行使にだって出てやる、とでも意気込んでいたのかもしれない。手を伸ばしたルークは前触れなく翻った俺に呆気に取られたような表情をしていた。その顔を構成する全てのパーツが同じはずなのに、なぜこうも違った表情が出来るのか。
「俺の顔で間抜けなカオさらしてんじゃねえ」
「アッシュのじゃない、俺の顔だ。表情くらい勝手だろ」
どっちにしたって同じことだろうが。くだらない事でいちいち言い返してくるんじゃねえ。内心そう思いながらも、もしかしたら俺の口には笑みが浮かんでいたかもしれない。屑の自己主張だって聞き流してやらねえこともない。
「話がある。黙って聞け」
「こっちだって、話があるから無理にでもアッシュを引き止めたんだ。俺たちラジエイトゲートで」
「知っている。だから、俺はお前を待っていたんだ」
姿かたちから構成する何から何まで全て俺と同じはずなのにどこか劣化したコイツは、しかしそれでもやるべきことをなんとかこなしてきているらしい。気に食わない所は多いが、それは認めてやる。
俺が望んでも得られなかったものを、コイツは望まずとも手にしている。そのことも、認めてやらない事はねえ。俺には到底在り得ない資質を、コイツが持っているのだろうことも。
拒まれるのは恐怖だった。だから全てを拒んだ俺に、拒絶され否定されながら、そのことに恐怖を覚えているくせに、何度も何度も手を差し伸べたのはお前だけだったから。
全てを拒んだ俺の心を溶かした俺に、今一度だけ、今度は俺から手を伸ばしてやってもいい。
グランコクマの蒼に、アッシュの紅は良く映えた。
ラジエイトゲートの封印を解き、やるべきことは全て終えて、あとはエルドラント突入を待つだけ。とうとう此処まで来たのだと、長かった道のりを思い浮かべるルークの胸には感慨深いものが過ぎった。その掌には彼が身を粉にして探していた宝珠が握られている。
今度こそはアッシュに、自分の被験者に、凛として向かい合えるはずだ、向かい合おうと決心して、ひとつ大きく深呼吸した。ルークの視線の先に、常のように堂々と背筋を伸ばしたアッシュの後姿がある。
彼に宝珠を渡して、そして一緒に師匠に挑むための道をゆく。
今ならアッシュに自身の意見をはっきり言える。そんな気がしていた。そして、最近優しくなったような気がするアッシュも、その道を共に行ってくれるのではないか。そんな小さくない期待を胸にして、ルークはその存在があまりに鮮烈すぎて周囲から浮いている彼に声を掛けた。
呼び止めて、振り返った先のその表情がいつになく穏やかで、小さくなかった期待はますます膨む。乱暴な口調はそのままでも、心なしかアッシュの口が笑みを浮かべていたような気さえして、まだ何も終わっていないのに嬉しくなる。
それが、彼の差し出した手に宝珠を渡した途端にこうも豹変するなんて。一体誰が想像できたというのだろう。
「ふざけるな!!」
アッシュの怒声が耳を劈く。
宝珠を渡されて眉間にしわを寄せていたアッシュは、ルークの言葉を遮ってそう吐き捨てた。それと同時に彼に渡したはずの宝珠がルークに投げて寄越される。
「誰がそんな事を望んだっ」
腹の底から出すアッシュの怒声は、いつしか痛切な響きを伴って、ルークの鼓膜を震わせた。
どうして。なぜ。アッシュがこうも怒りを露にする理由が解らない。宝珠の存在を一番に望んだのはアッシュじゃないか。宝珠と剣がうことで、アッシュと和解が叶い、そして共に師匠に挑むはずだったのに。一緒ならなんとかなるかもしれないと思っていたのに。
ルークが言葉を重ねるだび、アッシュの瞳には怒りを通り越した、憎しみの炎が灯されていく。出会った頃のような憎悪の視線。アッシュの翠の瞳が暗く熱を帯びる度、ルークは胸に言葉にならない痛みを感じ続けた。
「てめえは劣化レプリカのどうしようもねえ屑だが、俺に生きるための焔を灯したこと、それだけは認めてやる」
呆然とするしか出来ないルークに、エルドラントで決着をつけることを約束させたアッシュが去り際に放った台詞。
怒りと憎しみに塗れた声が、何故かルークには泣き笑いに聞こえて、やはりルークも泣きたくなった。